函館市築23年の寒さと結露に悩む2×4住宅をリノベーションでニアリーZEHに
※iezoom掲載事例です
リノベーションにも本気で取り組む
住み慣れた家が老朽化したり、年代物の中古住宅を購入した際には、寒さの問題や結露によるカビ、クロスの汚れなどが気になったり、キッチンや浴室の交換、間取りの変更などが必要になる場合が多いですが、既存の住宅の基礎や柱を再利用した「リノベーション」という選択肢によって、新築と変わらない高断熱・高気密な暮らしやすい住まいを手に入れることができます。
今回は、株式会社マルサ佐藤建設で2019年秋に築23年の自宅をナチュラルモダンなZEH住宅にリノベーションした函館市のSさんにお話をうかがいました。
寒さと結露に悩む昭和の家をモダンなZEH住宅に
リノベーション前のS邸。過去に外廻りをリフォームしたことがあるため、外装はあまり傷んでいませんでしたが、なにより「セントラルヒーティングがついているのにものすごく寒くて結露だらけだった」そう。
風除室と出窓がなくなり、外観もモダンな印象に。基礎、柱・梁など主要構造部分を残し、断熱性能と耐震性能を高める性能向上工事を経て太陽光発電を搭載したNearly ZEH(ニアリーゼッチ)※1仕様のスマート電化住宅※2に生まれ変わりました。
※1 Nearly ZEH(ニアリーゼッチ)とは、ZEH(ゼッチ=ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)が高断熱・高気密で暖房や給湯の省エネ性を高め、太陽光発電システムなどによって使う分と同じだけのエネルギーを創り出すことができる、年間の一次エネルギー消費量収支をゼロとすることを目指した住宅であるのに対し、年間の一次エネルギー消費量を75%以上100%未満と可能な限りゼロに近づけた高性能住宅を指します。
※2 スマート電化住宅とは、給湯・暖房にヒートポンプ機器を、調理にIHクッキングヒーターを使う、省エネで快適な暮らしが実現する住宅です。Sさんのお宅は暖房にエアコン、給湯にエコキュートを採用しています。
建て替えではなくリフォームを決意
Before
1度も手を入れたことのなかった室内は結露による内装の傷みがひどく、そのうえ窓廻りや家具の後ろなどにカビが生えていました。
「南向きのリビングもお隣の陰になって薄暗い感じ。間取りも使いにくく、いっそ建て替えてしまおうと思っていました(Sさん)」。建替えをすすめる会社がほとんどでしたが、マルサ佐藤建設だけがリフォームによるZEH化を提案。「基礎や木材が使えるなら新築と変わりない家にすることができます」。佐藤専務の一言がSさんの心を捉えました。(Sさま)
After
最終的に既存の基礎と柱・梁の再利用により建設費を抑えながら断熱・気密性と耐震性を高めるリノベーションを選択することに。さらに長期優良住宅化リフォーム推進事業補助金を活用し、光熱費が差し引きでほぼかからないよう太陽光発電を導入。内外装と間取りも一新しました。
間仕切りをなくし、吹き抜けで暗さを克服
1階リビングは、ダイニングとキッチンが一続きになったオープンスペースへと大きく変わりました。右手前の白い扉の奥にはお母さまのための洋室を配置。フローリングは以前より明るめの色に。ナチュラルで暖かな雰囲気の家具や小物はSさんのセレクトです。
開口部は全て断熱性の高いトリプルガラス入りサッシ。断熱性能を表すUA値は0.24、気密性能を表すC値は0.3で、マルサ佐藤建設が建てる新築住宅と同等の超高断熱性能を実現しています。
リビングの階段上部は吹き抜け構造に。床下の暖房機で暖めた空気が建物全体に循環しやすくなる効果もあります。取材日は鉛色の空で、小雨がちらついていましたが、リビングには明かりも差していました。「今までのリビングとは比較にならない明るさで、気持ちがぜんぜん違います」とSさま。
個室がある2階には吹き抜けとつながったホールが。「娘の希望で勉強机のようなカウンターと棚を造ってもらいました。」。(Sさま)新型コロナ感染拡大によりリモートワークが定着しつつある今こそ、おうちの中にこんなスペースがあると便利ですね。
家事動線に優れたキッチン。物干しスペースも実現
天井に木目調のクロスを部分貼りしたシンプルなキッチン。前よりもユーティリティに近くなり、お料理とお洗濯の同時進行が楽になりました。キッチンの裏手には、ユーティリティとは別に物干しスペースを設けました。物干しスペースの隣にユーティリティ、その向こうが脱衣室で、水廻りが一直線上に配置され、家事の効率が格段にアップ。
「リビングのドアがなくても暖かい」
玄関ホールからリビングにつながる動線。ガラス入りのパーテーションはインテリア性も高く、程よい幅で間仕切りと目隠しの効果を発揮。玄関には「靴を置きっ放しにしたくない」というSさんの希望により室内に出入りできるシューズクロークを設置しました。お客さまの目に触れさせたくない物もこの中に。
胆振東部地震を教訓に蓄電池を導入
S邸では佐藤専務のすすめで停電に備え、リビングの階段下のスペースに太陽光発電の電気をためる蓄電池を設置しています。「リフォームの前年に起きた胆振東部地震の道内全域ブラックアウトが頭をよぎり、導入を決めました(Sさん)」。
太陽光発電だけだと、日が落ちれば電気は使えなくなります。蓄電池があれば、余剰電力をためて夜も使えます。安心ですね。
暖房は床下エアコン。基礎をしっかり断熱し、床下から暖気を室内に供給します。しかも熱源はエアコン1台。断熱性能が高いからこそ可能になる方法です。
冬の光熱費が3分の1以下。夏はプラス
「スマート電化住宅にしたおかげで高齢の母が日中、1人で留守番していても安心していられるようになりました」とSさん。
心配していた電気代も「冬の1番寒い時期で月2万円程度に抑えられています。夏は1万円を超えたことがなく、1万~1万2000円の売電でプラス」と納得の表情です。
ちなみに、リフォーム前の冬場の光熱費の内訳はセントラルヒーティングの灯油代だけで月4万円、電気代が2万円ほど。そのほかにガス代もあり、トータルで6万円以上。「前とは比べものにならないほど光熱費がかからなくなったと思います」。
居心地のよい家で健康な暮らし
建物の性能向上と適切な暖房・換気システムによって結露の問題も解決。カビの発生も収まりました。以前はカビのせいで咳が出て眠れない日もあったSさんですが「リフォーム後は熟睡できるようになり、体調が良くなった」そう。健康回復は何よりですね。
「たくさんのわがままを全て叶えていただき、とても快適な家になりました。夜の外出が多かった息子も居心地が良いせいか、家に居る時間が長くなったような気がします。」(Sさん)
記者の目
結露がひどかったS邸ですが、壁を壊して柱(スタッド)を確認すると、構造体はぜんぜん使える状態だったそう。さすがの見立てです。
工事中にはしっかり写真を撮影し、現場管理をしています。
※iezoom掲載事例を編集部の許可を得て転載しました。
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