古い建物は【爆裂】が多い
函館市湯川町にある集合住宅の外壁落下に伴う、修繕工事です。
外壁が落下してきたので見て欲しいと連絡を受け現地に調査に入りました。
この建物はRC造(コンクリート)なのですが、RC造は鉄筋とコンクリートが互いの利点を補完しあって構成される構造体で、地震力が作用したときには鉄筋が引張力を、コンクリートが圧縮力を負担して揺れに対して耐力しています。
今回の外壁落下はコンクリートにひび(クラック)が入り、そのひび(クラック)から雨水が浸入したことで発生しました。
コンクリートは新築当時はアルカリ性を保持していますが、経年変化でアルカリ性→中性→酸性と変化していきます。
中性、酸性にコンクリートが変化していくと、鉄筋は錆びてきます。
鉄筋が錆びると鉄筋の体積が増え、コンクリート内に納まっていられなくなります。
鉄筋が膨張し、コンクリートとの接着性が悪くなり、落下するという順序をたどります。
内部にある鉄筋が錆びにより膨張してコンクリートとの付着不良で落下していました。
この症状を【爆裂】と呼びます。
足場を架けて工事開始!
まず最初に足場を架けて、外壁の劣化箇所の調査を行います。
外壁が落ちそうな箇所をハンマーで叩くと「カンカン」と高い音が鳴ります。
この音の鳴る箇所を全数調査し、落ちそうな場所は叩いて壊していきます。
錆びた鉄筋をアルカリ性に戻す
アルカリ性にする薬剤の塗り付けが完了したら、防錆材の入った補修材を塗り付けます。
その後は欠損部補修材で鉄筋を覆うように仕上げていきます。
予算の関係上、塗装をすることができなかったので、まだ工事中のような仕上がりになっていますが、ひとまず外壁の落下を防ぐ工事は完了しました。
欲を言えば、各階のバルコニーの床部分に防水施工を施したかったです。
その防水処理を行わないとまた鉄筋が錆びる現象が出てきてしまいます。
一時的には外壁の落下は止まりますが、長期的に見ると各階バルコニーの防水施工も視野に入れるほうがより安全です。
バルコニーの防水を施したときの別件工事は→こちら